「この人しかいない!」と思って結婚したのに、今では鬱陶しいと感じちゃうのよね……
憧れの職業に頑張って転職したのに、今では仕事をやめたい……
「これをすれば幸せになれる」と思って、それを実行しても思ったほど幸せと感じられなかった経験は、誰しもあるのではないでしょうか。『明日の幸せを科学する』では、なぜ人は自分の幸せを予測できないのかにフォーカスを当てて、実験で明らかになった人間の思い込みや勘違いについて解説しています。
「幸せになるために努力している」「こうすれば幸せになれると思っていたのに何か違う」と感じている方はぜひ読んでみてください。
人はなぜ自分の幸せの予測を外すのか?
そもそも、ひとはなぜ「自分はこうすれば幸せになれる」という予測を外してしまうのでしょうか。それには人間の脳、前頭葉が大きく関係しています。
理由1:わからない部分を穴埋めする
未来は、まったく予測できないわけではなく、一部や大まかな流れは予測できます。例えば今後の世界の流れは完全に予測することはできませんが、「日本は少子化が進んでいるので、人工が減少していくだろう」という大まかな流れは予測できます。このように未来には、大まかに予測できる部分と予測できない部分があります。
問題は私たちの脳は、予測できないところを勝手に穴埋めしてしまうというところです。そのため具体性にかける予測でも「何とかなるだろう」と考えてしまうのです。
理由2:現在の延長線上でしか予測ができない
2つ目の理由は、私たちは現在の延長線としてしか、未来を予測できないという点です。1つ目の理由でもあったように、私たちは細部を穴埋めしたり放置してしまいますが、その穴埋めは現在の姿が使われることが多いのです。
真っ新に生まれ変わって 人生一から始めようが へばりついて離れない 地続きの今を歩いているんだ
King Gnu『白日』歌詞より
上記は2019年に紅白でも披露された、ロックバンドKing Gnuの大ヒット曲『白日』の歌詞の一節。どれだけ「生まれ変わろう」としたって今までの自分を切り離すことはできないということが歌われています。
この歌詞のように、どれだけ今の自分と違った未来を予想しようとしても、今の自分が反映されてしまうことが本書では指摘されています。
理由3:未来に抱く”感情”が予測どおりだとは限らない
3つ目の理由は、未来に起こる現象は予測できても、未来に抱く感情は予測どおりだとは限らない点です。これにはいくつかの事例が紹介されています。
終わりよければ全て良し
始めからラスト10分前まで素晴らしい映画でも、最後の10分間のシーンがひどいと全てが台無しに思えてしまう。そんな経験は無いでしょうか。(著者は『シンドラーのリスト』をあげていますが、私は『ブラック・クランズマン』です。笑)映画だけではなく、旅行などにも当てはまります。
このように人間には、一番最後の部分を記憶する特徴があり、過去の記憶が間違って記憶されている可能性が大いに有り得るのです。
結論・実践ポイント:最も幸せになるには経験者からの話しを聞け!
人間にとって、自分の未来を予測することはとても難しいことです。特に自分の幸せのことになると、ほとんど不可能です。ではどのようにすれば幸せを予測できるのでしょうか。
結論は、自分が「こうなりたい」と思ったら今の時点でそうなっている人に、どんな気持ちか聞くことです。
例えば、「年収1,000万円になりたい!」と思ったら実際に年収1,000万円のスーパーサラリーマンに話しを聞いてみる。
「転職して夢だった漫画家を目指したい」であれば、実際にサラリーマンから漫画家へ転向した人の話しを聞いてみる。
などです。実際に現在その立場にいる人から話しを聞くと、自分では想像できなかったことが多く聞けると著者は述べています。
「こうなれば幸せ」だと思っていたことも意外と「年収は高いが、時間がない」や「憧れの漫画家にはなれたが、ひたすら漫画だけと向き合わないといけず、精神的な余裕がない」など、現実的な声が聞けるでしょう。
まとめ
『明日の幸せを科学する』の要約をご紹介しました。誰しも「幸せになりたい」と思いますが、「幸せ」の定義は人によって違いますし、科学的に定義するのは難しいことです。
本書では、そんな実態のない「幸せ」を数多くの実験結果とともに、ユーモアあふれる文体で解説しています。少しまどろっこしい部分もありますが、ここで紹介していない興味深い実験内容もありますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
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